税金・制度2024.03.01

相続不動産の売却時の特例 — 空き家特例・取得費加算(2024年改正対応)

相続不動産の売却時の特例 — 空き家特例・取得費加算(2024年改正対応)

相続した不動産を売却する際には、一定の条件を満たすことで税負担を大幅に軽減できる特例が2つあります。①空き家の3,000万円特別控除②相続税の取得費加算の特例です。2024年(令和6年)改正の最新内容を踏まえて解説します。

1. 空き家の3,000万円特別控除(2024年改正対応)

相続した実家(親が一人暮らしをしていた家など)を空き家状態から売却する場合、一定の耐震基準などを満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。

2024年(令和6年1月1日以降)の主な改正ポイント

売却後の解体・リフォームも対象に(大幅緩和)

従来は「売却前に売主が」解体または耐震改修を完了する必要がありましたが、改正後は売却年の翌年2月15日までに買主が解体や耐震リフォームを完了すれば特例を受けられます。「古家付きのまま現状渡し」で売却しやすくなりました。

相続人が3人以上の場合は2,000万円に減額

不動産を共有相続した人数が3人以上の場合、1人あたりの最大控除額が従来の3,000万円から2,000万円に制限されます。相続人が1〜2人の場合は従来通り最大3,000万円。

適用期限が2027年12月31日まで延長

本特例の適用期限が令和9年(2027年)12月31日まで延長されています。

空き家特例の主な適用要件

1

建物の要件:1981年(昭和56年)5月31日以前の旧耐震基準で建築された家屋であること

2

居住要件:相続開始の直前まで被相続人が1人暮らしをしていたこと(老人ホーム等への入所要件あり)

3

売却金額の要件:売却代金が1億円以下であること

4

売却期限:相続から3年目の12月31日までに売却すること

5

建物の状態(2024年改正後):売却時点で耐震基準を満たしているか、または売却後に買主が翌年2月15日までに解体・リフォームを完了すること

2. 相続税の取得費加算の特例

相続から3年10ヶ月以内に相続不動産を売却した場合、支払った相続税の一部を「取得費」に上乗せして計算できる特例です。取得費が増えることで課税される譲渡所得を圧縮でき、節税効果があります。

取得費加算の計算式

加算できる取得費 = 支払った相続税額 × (売却した不動産の相続税評価額 ÷ 相続財産の合計相続税評価額)

項目 内容
適用期限相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に売却すること
相続人の数制限なし(空き家特例と異なる)
売却価格の制限制限なし(空き家特例と異なる)
建物の築年数・状態制限なし(新耐震基準の建物でも適用可能)

3. 2つの特例の選び方

空き家特例と取得費加算の特例は、原則として選択適用(どちらか一方のみ)となります。どちらが有利かは、相続税額・譲渡所得額・物件の状況によって異なります。

比較ポイント 空き家特例(3,000万円控除) 取得費加算の特例
建物の要件 旧耐震基準(1981年5月以前) 制限なし
売却金額の上限 1億円以下 制限なし
控除の大きさ 最大3,000万円(3人以上の場合2,000万円)の一律控除 支払相続税に連動するため物件・税額による
相続人の居住要件 被相続人が1人暮らしだった必要あり 制限なし
期限 相続から3年目の12月31日まで 相続から3年10ヶ月以内

■ 空き家特例が有利なケース

旧耐震基準の実家で、譲渡益が大きく出る見込みがある場合。特に相続税額が少ない場合や非課税だった場合は、定額の3,000万円控除のある空き家特例の方が有利になりやすいです。

■ 取得費加算が有利なケース

相続税を多く支払っており、かつ売却価格が1億円を超える場合や、新耐震基準の建物の場合。取得費加算額が空き家特例の控除額を上回る場合に有利になります。

4. 確定申告と必要書類

いずれの特例も、売却した翌年の確定申告(2月16日〜3月15日)での申告が必要です。特例を適用して税額が0円になる場合も申告が必要です。

必要書類(空き家特例) 入手先
確定申告書・譲渡所得の内訳書国税庁ウェブサイト・税務署
被相続人居住用家屋等確認書市区町村役場(事前に申請が必要)
耐震基準適合証明書 or 建設住宅性能評価書の写し建築士事務所・住宅性能評価機関
売買契約書・登記事項証明書ご自身保管 / 法務局
戸籍謄本(相続関係を証明するもの)市区町村役場

※「被相続人居住用家屋等確認書」は市区町村への申請に時間がかかる場合があります。売却前から早めに準備を進めることをお勧めします。

まとめ

相続不動産の売却では、空き家特例(最大3,000万円控除)と取得費加算の特例の2つが利用でき、どちらが有利かはケースによって異なります。2024年の改正で空き家特例は「現状渡し売却」でも使いやすくなりましたが、相続人が3人以上の場合は控除上限が2,000万円に変わった点にも注意が必要です。

東大阪・八尾・大東・四条畷エリアで相続不動産の売却をご検討の方は、お気軽にご相談ください。節税対策を含めた最適な売却プランをご提案いたします。